玄米を中心に、ライフスタイルに合わせた食事プランを組んでいくうえで基本となるのが、「シンプル」と「バランス」です。玄米自体栄養価が高いだけに、おかずは「シンプル」なものでよく、また、玄米の栄養成分に足りないものを補う「バランス」のよい食生活を心がけるということです。
あわせて、玄米の特性である「保温しておいてもおいしさが保てる」「白米より保存性がよい」「チャーハンや雑炊に加工することで食べやすくなる」といった点をいかし、毎日の献立を考えると、玄米食は思ったより簡単なのです。
たとえば、ひとり住まいの方なら、１回に玄米を４合炊くと、２日から３日の主食が確保できます。朝食は玄米粥や玄米雑炊と梅干、昼食は玄米おにぎりと簡単なおかずのお弁当、そして夕食は玄米と味噌汁と野菜メインのおかず。玄米が余ったなら、冷凍保存しておく。こういった基本パターンがあれば、手軽に栄養バランスのよい食生活を送ることができます。
また、この基本パターンは、ダイエット、健康作り、体質改善、食事療法のいずれにおいても効果のある食生活スタイルです。
もちろん、おいしさや楽しさも重要です。しかし、複雑な料理や調理方法をすればおいしくなるかと言えばそうでもなく、また、シンプルなものをアレンジして、料理のレパートリーを広げるという楽しさもあります。
朝食の玄米粥や玄米雑炊ひとつをとっても、和風、洋風、中華風、材料、調味料、ハーブ、薬味……など、それぞれの組みあわせで生まれる味は無限です。それも、難しい料理ではありません。夜のうちに玄米と材料と調味料を鍋に仕込み、少し煮込んでおくだけです。材料も、夕食の余りものを使いアレンジするのであれば、夕食を作るときに同時に朝食の仕込みもできます。そして、朝はゆっくり目覚めて、鍋を温めるだけでできあがり。玄米粥や玄米雑炊は、玄米の果皮の部分が味わい深くなるので、白米で作ったお粥や雑炊よりも、ずっとおいしく感じます。消化吸収がよく栄養価も抜群。梅干との相性もよく、１日の始まりに元気を与えてくれること間違いなしの朝食です。
次に昼食ですが、玄米おにぎりを作り、ラップに包んでお弁当にします。
おかずは夕食の残りものをアレンジしたり、簡単なものを用意してもよいでしょう。また、時間がない場合は、お惣菜を買っておかずにするのもよいと思います。最近は、ナチュラル志向のデリカテッセンも増えており、無添加のお惣菜も手に入る時代なので、こういったものをおかずにすると手軽です。
さて、最後に夕食ですが、やはり１日の疲れを癒す大切な食事です。それだけに、料理をすることも楽しくありたいものです。そういう意味でも、疲れを増すような面倒な調理方法ではなく、できるだけ下準備の簡単な方法がよいでしょう。そこで、ポイントとなるのが素材選びです。
たとえば根菜類の場合、皮をむいたりする工程がとても面倒なものです。しかし、無農薬の野菜なら皮をむく必要がなく、たわしで土を洗い流すだけでよいのです。野菜の皮の部分には、栄養素が凝縮されているので、皮ごと食べることで有用なビタミンやミネラルをしっかり摂ることができるし、生ゴミも減ります。また、無農薬野菜は化学肥料や農薬特有の渋味やえぐ味がなく、野菜本来の味なので、調理方法がシンプルでも、味わい深くおいしい料理になるのもうれしいところです。
もちろん、調味料にもこだわりたいものです。厳選された材料を用いて、ていねいに手作りされた味噌や醤油や自然の塩。添加物を加えることなく、素材にこだわった各種調味料。自然食と呼ばれるこれら無添加の調味料は、一般的なものに比べると値段は高いのですが、ものは考えよう。１回に使う量は知れたもので、値段が高いから大切に使うことで無駄もなく、結果として経済的なのです。それ以上に、添加物で身体や血液が汚れ、病気になる可能性が高まることを思うと、無添加調味料は医療費もカバーする経済的効果の高い調味料なのです。
これら無添加の本格調味料を使うことで、素材の味がグッと引き立ってきます。調理方法は皮つき野菜を中心にさまざまな素材を用い、煮込む、炒める、揚げる、焼く、蒸す。これらを組みあわせ、和洋中の味つけと、ハーブや薬味を利用して、簡単でおいしい料理のできあがり。一般的には粗食と呼ばれるシンプルな料理でも、素材と調味料の持つ奥の深い味わいは、科学的に合成された添加物では得ることのできない感動があります。
その感動は、料理の真髄を教えてくれると同時に、料理の楽しさと、玄米食のおいしさを倍増させてくれます。そして、こういった食事を続けることで、新たな味覚が目覚めてきます。
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